「法要とは、仏祖を礼拝供養し、経典を読誦し、仏徳を讃嘆して、報恩の至誠を表す行事をいう」
(「法要儀式規程」第一章第一条)とあり、また「儀式とは、仏前に於いて行う、法要以外の行事をいう」(同第四条)とある。一般寺院で勤修される法要の期日・荘厳・作法・次第などは、次の通りである。
一般寺院において行う儀式は、次の通りである。
住職を拝命し、その継職奉告法要に先立って行う儀式。
継職式次第 (1)
1 門信徒着座
2 法中着座
3 住職着座 (外陣の余間下)
4 住職許状伝達
5 勤 行
6 住職挨拶
継職式 次第 (2)
1 門信徒着座
2 法中着座
3 住職着座 (外陣の余間下)
4 住職許状伝達
5 住職継職奉告法要
6 本願寺よりの「お祝いの言葉」披露
7 祝辞・祝電披露
8 住職挨拶 (前住職が挨拶する場合は住職の前にする)
〔注〕
住職継職式と継職奉告法要を別の日時に行う場合は次第(1)で行い、同日に住職継職奉告法要に先立って継職式を行う場合は次第 (2) を例とする。
宗門に帰向し、門徒の本分を守る旨を仏前において宣誓する儀式。門徒の願い出により住職または主管者が行う。
◎ 期 日
式の日取りは、なるべく報恩講法要・彼岸会・宗祖降誕会など各種行事の日に定めて、多数の受式者が同時に受けられる日時に行うよう心がける。
◎ 荘 厳
平常時の荘厳
入門式 次第〔例〕
1 受式者着座
2 勤 行
〔讃仏偈・短念仏・回向、または正信偈(行譜)和讃六首引〕
3 受式者決意表明
4 入門章授与
(または門徒式章授与)
5 住職挨拶
6 恩 徳 讃
7 受式者退席
結婚式は、親鸞聖人の流れをくむ者にとって生涯聞法の大切な儀式であり、如来のご尊前において念仏に薫る人生を送ることを表明する儀式。
◎ 荘 厳
○御本尊前
上 卓 打 敷
供 物 紅白餅一具
前 卓 五具足(または三具足)・打敷・水引
礼 盤 打 敷
(式の前に「司婚・誓いの言葉」・記念念珠を広蓋に入れて前卓に置く)
○両脇壇
前 卓 三具足・打敷
供 物 紅白餅一具
○両余間
前 卓 三具足・打敷
(1) 結婚式 次第
1 行 事 鐘
(行事鐘に代わる開始の合図を用いてもよい)
2 親族来賓着席
3 開式の言葉
4 楽
(雅楽または讃歌)
5 新郎新婦着席
(仲人が案内し仏前に向かって着席。父母はあとに従う)
6 司婚者登礼盤
(司婚者が登礼盤をしているとき、一同は仏前に向きをかえ、司婚者に合わせて合掌礼拝する)
7 止 楽
8 勤 行
(至心礼・表白・成就文の順に行う)
9 楽
10 司婚者降礼盤
(司婚者は、「司婚・誓いの言葉」・記念念珠をのせた広蓋を持って司婚者席につく)
11 止 楽
12 司婚・誓いの言葉
(司婚の前文、誓いの言葉、司婚の後文の順に行う)
13 楽
14 記念念珠授与
(司婚者は、授与し終われば控席に着く)
15 新郎新婦焼香
(終われば元の席につく)
16 仲人焼香
(仲人は、ともに進み出て焼香する)
17 親族代表焼香
(両家の親族がそろって焼香する)
18 止 楽
19 法 話
20 讃 歌
(斉唱またはBGM)
21 合掌・礼拝
(司婚者に合わせて一同が合掌礼拝する)
22 閉式の言葉
23 楽
24 新郎新婦退出
(仲人が案内)
25 司婚者退出
26 止 楽
27 親族来賓退出
〔注〕
式次第は、原則にはずれない範囲で適宜に変更してもよい。
(2) 結婚式の服装について
①司婚者の服装は、正装第一種(色衣・五条袈裟・切袴)とする。
②係員のうち僧侶は正装第二種、門信徒は和服または洋服の礼装に式章をかける。
③新郎・新婦は、僧侶であれば正装第一種(色衣・五条袈裟・切袴)、寺族・門信徒であれば和服または洋服の礼装に式章をかける。
④列席者のうち、僧侶は布袍・輪袈裟、門信徒は礼装とする。
仏前において新しい生命の誕生をよろこび、生かされて生きる縁を聞法する人生最初の大切な儀式。それゆえに本宗門徒の親子は、こぞって受式するよう心がけたい。
◎ 荘 厳
平常時の荘厳(御本尊前を点燭し、焼香の用意をする)
初参式 次第
1 一同着席
(幼児を抱いた参詣者は焼香卓前に着席)
2 住職入堂・焼香着座
3 勤 行
(讃仏偈または「意訳らいはいのうた」)参詣者焼香
4 住職は外陣にいたり、斜め横より参詣者に向かって着座
5 礼 讃 文
(人身受けがたし…… 次第取で復唱)
6 「初参式についての消息」拝読
「初参式についての消息」
人間として、この世に生を受けることは、きわめてえがたいことであります。今、はかり知れない縁あっていのちを受け、さらに遇いがたい仏法に遇って、尊い人生を歩み始められましたことは、まことにおめでたいことであります。
阿弥陀如来は、何ものも、本当には、あてにならないこの世に生きる私たちに、限りない智慧と慈悲のおこころで、お呼びかけくださっています。そのお呼び声である南無阿弥陀仏をいただくところに、真実の人生が開かれてくるのです。この真実に目覚めて、お念仏とともに生き抜かれた、親鸞聖人のみあとを慕う人間となることが、私達にとって最も大切なことです。
ほとけの子の誕生は、家族の方々の尊い仏縁であります。このうえは、有縁の方々そろって聞法に心がけられ、お念仏にかおる環境の中で、小さないのちがすこやかに育つよう願ってやみません。
龍谷門主 釈 即 如
7 法 話
(または祝詞)
8 讃 歌
(「ははなればちいさきあこに」……範子裏方作)
〔注〕
①御消息を拝読するときは、「表題および年月日」は読まない。
②御消息の拝読は、節譜(ふし)をつけて読まない。
③「龍谷門主・釈即如」は披露する。
④御消息は、御文章箱に納めて拝読する。
⑤式次第のなか「五 礼讃文」の唱和は、時間の都合で省略してもよい。
⑥初参児の年令は、百日目ごろから一歳未満が望ましい。
⑦「初参式のしおり」には、氏名・誕生日を明記すること。
⑧集合して挙式する場合は、なるべく報恩講法要・彼岸会・宗祖降誕会など各種行事の日に定めて、多数の受式者が同時に受けられる日時に行うよう心がける。
⑨勤行や礼讃文は、あらかじめ印刷したものを配布して、ともに唱和することが望ましい。
⑩そのほか婦人会の祝辞、記念品の贈呈、記念撮影、会食なども考えられる。参加記念品の例としては、教化パンフレット・念珠・合掌人形・アルバム・色紙などがある。
⑪一般に行われている「七・五・三」も寺院に参詣するよう指導する。
⑫初参式記念「いのちのであい」は、本願寺出版社でとり扱っている。
葬儀については、『浄土真宗本願寺派 葬儀規範』および『浄土真宗本願寺派 葬儀勤行集』(本願寺出版社刊)を参照。
浄土真宗における起工式・上棟式・定礎式は、仏光照護のもと機縁の純熟をよろこび、仏恩に感謝して完遂の決意をあらたにする儀式。
◎ 期 日
その都度協議して定める。
◎ 荘 厳
式場の中央に御本尊(絵像または尊号)を奉懸し、前卓に三具足・打敷・供物一具を荘厳する。
(1) 起工式・上棟式 次第〔例〕
1 一同着席
2 開式の辞
3 住職焼香 (一同合掌礼拝)
4 三 奉 請
5 讃 仏 偈 (勤行中に関係者は焼香する)
6 短 念 仏
7 回 向
8 一同合掌礼拝
9 鍬入れ・挨拶・祝辞等
10 住職挨拶
11 閉式の辞
〔注〕
①起工式において、工事関係者の要望により「鍬入れ」を行う場合は、お勤めが終了したあとで行うのが望ましい。
②上棟式において、棟札を用いる場合は、事前に用意しておき式が終了したあと掲示する。
(2) 定礎式 次第〔例〕
1 一同参集
2 開式の辞
3 一同合掌礼拝
4 住職挨拶
5 定礎碑除幕
6 定礎文披露
7 祝 辞
8 工事関係者代表謝辞
9 真宗宗歌
10 一同合掌礼拝
11 閉式の辞
12 一同退席
〔注〕
定礎式は、碑の除幕・挨拶などだけで勤行は行わない。
浄土真宗における竣工式は、慈光照護のもと新築(修復)の普請が完成したことを仏前に奉告するとともに、有縁の人びとが仏恩を報じ感謝の喜びを表明する儀式。
◎ 荘 厳
前卓に三具足・打敷・供物一具
◎ 勤 行
三奉請・讃仏偈・短念仏・回向または正信偈(行譜)和讃六首引
引きつづいて住職の挨拶
〔注〕
①仏壇以外の場合は、式場に御本尊(絵像または尊号)を奉懸し、三具足・打敷・供物一具にて荘厳する。式次第は、起工式・上棟式を参照。
②祝辞・感謝状の贈呈などを行う場合は、勤行のあとで適宜に行う。
③寺院で入仏法要を兼ねる場合は、入仏慶讃法要に準ずる。
建碑式は、墓碑や記念碑・顕彰碑などの建立に当たって仏祖の冥助を感謝し、その建立を縁としてますます聞法・求道に励むことを表明する儀式。
◎ 荘 厳
墓前に御本尊(絵像または尊号)を安置し、その前に高机を置いて三具足・供物を荘厳する。
◎ 勤 行
三奉請・阿弥陀経または讃仏偈・短念仏・回向
〔注〕
①墓碑の場合、棹石の白布は事前にとり払い、納骨を済ませてから勤行する。
②調声人が焼香したあと、勤行中に関係者が焼香する。
浄土真宗における入仏式は、寺院や門徒の家で新しく御本尊をお迎えしたり、修理などが終わりお遷りになったとき勤める法要。一般に「おわたまし」「おひもとき」とも称されているが、「お正念」を入れるということではなくて、深厚の仏縁をよろこび、仏壇を安置して心のよりどころとし、日々報謝の勤行とお給仕を相続することの決意を表明する儀式。
◎ 荘 厳
前卓に五具足(または三具足)・打敷・供物
◎ 勤 行
三奉請・浄土三部経(偈文を含む)または正信偈(行譜)和讃六首引勤行のあと法話・御文章拝読
〔注〕
寺院の入仏慶讃法要については、慶讃法要の項を参照のこと。
本ページは『浄土真宗本願寺派 法式規範』をもとに、ホームページ用に抜粋し構成したものであるため、凡例・本願寺・大谷本廟・直属寺院の荘厳に関すること、並びに椅子席規範用語解説、口絵、イラストなどについては法式規範を参照ください。