声明と役配

読 物 作 法

御文章・御俗姓御文章・御伝鈔などの読物の拝読に関する作法は、次の通りである。

1 御文章の拝読

御文章は御文章箱に納め、本堂の右余間壇上(向かって左)の内陣よりに置く。拝読するときは、御文章箱の前にいたって一揖し、御文章箱を目の高さに奉持し外陣に下りて、御代前側の一畳目に横(中央)向きに着座する。御文章箱の蓋を右側へ開け、畳の縁にかからぬように置き、頂戴してから胸の前に保持し拝読する。

拝読が終われば、元の作法・順路で御文章箱を置き、一揖して退出する。

上記の作法によることを通例とするが、拝読者の席に御文章箱を置いておき、その席で参詣者に対して拝読してもよい。

2 御俗姓御文章の拝読

御俗姓御文章は、報恩講法要の逮夜法要に引きつづいて拝読する。御俗姓御文章は、法要の前に御文章箱に納め、右余間壇上(向かって左)の内陣より(御文章箱の位置)に置いておく。

拝読するときは、後門より右脇壇前(向かって左)を通り御文章箱の前にいたって一揖し、御文章箱を目の高さに奉持し外陣に下りて、右脇壇下(向かって左)の一畳目で拝読する。

拝読が終われば、元の順路で御文章箱を置き、一揖して後門より退出する。

3 御伝鈔の拝読

御伝鈔は、報恩講法要の初夜勤行に引きつづいて拝読する。御伝鈔は、初夜勤行の前に右余間壇上(向かって左)の中央に御伝鈔卓を準備し、その上に置いておく。

拝読するときは、後門より右脇壇前(向かって左)を通り御伝鈔の前にいたって正座し、一拝(起居礼)する。御伝鈔を卓のまま目の高さに奉持し、内陣の左脇壇前(向かって右)の回畳第一席(住職席)または外陣の左脇壇下(向かって右)の一畳目に着座する。次に、御伝鈔を頂戴してから卓の上に開いて置き、正座の姿勢で拝読する。拝読が終われば、元の順路で右余間壇上(向かって左)の中央に卓を置き、一揖して後門より退出する。

4 御消息の披露

一般寺院においては、原則として、御消息は袱紗に包んだまま広蓋に入れて左余間壇上(向かって右)に置き、披露は講壇(または高机)において行う。

○御消息を披露するときの要領と作法は、次の通りである(括弧内に所役の一例を示した)。

(1)拝読者(教務所長)・拝受者(組長)・奉持者(組内寺院の住職など)がいる場合    

1勤行に引きつづき、外陣の準備がととのい次第、拝読者は後門より入堂する。左余間(向かって右)を通り外陣に下りて、正面にて御本尊に一揖し、講壇(または高机)前に立つ。

2奉持者は、拝読者が余間より外陣に下りるころ、左余間壇上(向かって右)の御消息を奉持に向かう。一揖して御消息を広蓋のまま目の高さに奉持し、余間より外陣に下りて講壇の上に置き、一揖して所定の席(外陣余間下など)に控える。

3拝読者は、中啓を広蓋の手前に置く。袱紗を開き(前もって開いておいてもよい)、御消息を右手で持つと同時に左手を添えて頂戴し、ひもを解いて拝読する(ひもは表紙木にかける)。

4拝読しながら左手で巻物を開き、右手で体裁よく次第に巻き上げる。

5拝読し終われば、巻き戻しをせずに巻き合わせて両手で頂戴し、袱紗に包む。

6拝受者は自席を立ち、講壇の前に進んで一礼する(奉持者は近くに控えておく)。

7拝読者は、拝受者に御消息を広蓋のまま伝達する。

8拝受者は一礼して御消息を拝受し、御消息を奉持者に手渡し、自席に着座する。

9奉持者は御消息を受け取り、元の左余間壇上(向かって右)に置き、一揖して自席に着座する。

10拝読者は、御消息の趣旨演達(または趣意演達)をする。

11趣旨演達が終われば、拝読者は中啓を保持して参列者に一礼する。その後、正面に向き直り御本尊に一揖して、余間を通り後門より退出する。

(2)拝読者だけ(または拝受者がいる)の場合

1勤行に引きつづき、外陣の準備がととのい次第、拝読者は後門より入堂し左余間(向かって右)に下りる。

2御消息の前で一揖して広蓋のまま目の高さに奉持し、余間より外陣に下りて、講壇(または高机)に向かう。

3御消息を講壇の上に置き、中啓を広蓋の手前に置く。袱紗を開き(前もって開いておいてもよい)、御消息を右手で持つと同時に左手を添えて頂戴し、ひもを解いて拝読する(ひもは表紙木にかける)。

4拝読しながら左手で巻物を開き、右手で体裁よく次第に巻き上げる。

5拝読し終われば、巻き戻しをせずに巻き合わせて両手で頂戴し、袱紗に包む。拝受者がいれば、拝受者に御消息を広蓋のまま伝達する。拝受者は一礼して御消息を拝受し、元の左余間壇上(向かって右)に置き、一揖して自席に着座する。

6拝読者は、御消息の趣旨演達(または趣意演達)をする。

7趣旨演達が終われば、拝読者は中啓を保持して参列者に一礼し、御消息を奉持して元の左余間壇上(向かって右)に置き、一揖して後門より退出する。拝受者に御消息を伝達した場合は、拝読者は中啓を保持し参列者に一礼してから、正面に向き直り御本尊に一揖して、余間を通り後門より退出する。

〔注〕

①余間を使用しない場合、拝読者(または奉持者)は後門より御消息を奉持し、内陣を通り外陣に下りて、講壇(または高机)に向かう。

②勤行〔正信偈(行譜)和讃六首引、または讃仏偈・短念仏・回向〕は外陣正面で行い、御文章を拝読する場合は外陣の右脇壇側下(向かって左)で拝読する。

③御消息を披露するときの服装は、調声人および御消息拝読者・拝受者は正装第一種(色衣・五条袈裟・切袴)とし、御消息奉持者は正装第二種(黒衣・五条袈裟・切袴)とする。

本ページは『浄土真宗本願寺派 法式規範』をもとに、ホームページ用に抜粋し構成したものであるため、凡例・本願寺・大谷本廟・直属寺院の荘厳に関すること、並びに椅子席規範用語解説、口絵、イラストなどについては法式規範を参照ください。