声明と役配

役 配 作 法

法要や儀式を執行するに際して、次のような諸役配および作法がある。

1 導師(どうし)・調声人(ちょうしょうにん)・頭(とう)

導師とは、法要に際し登礼盤をして調声(声明の句頭を始唱すること)する者、および葬儀のときに調声する者をいう。

一般寺院においては、導師席〔右脇壇側(向かって左)の第一席〕より登礼盤を行う。ただし、後門より直接登礼盤を行うこともある。

また、余間での導師席は、内陣から遠い側〔左余間(向かって右)では左側(向かって右)、右余間(向かって左)では右側(向かって左)〕の第一席とする。

調声人とは、法要または勤行に際して、登礼盤をしないで調声する者をいう。

一般寺院においては左脇壇側(向かって右)の回畳の第一席で調声する。余間または外陣における調声人の席は、つねに御本尊または御影の正面中央とする。

導師・調声人のほか、法要中に個々の声明の句頭(句のはじめ)を発音したり、または独吟(ひとりで唱えること)したりする者は、唱える声明の名称に「頭」の字を付して役名とする。その種類および席次などは、次の通りである。

(1)念仏頭(ねんぶつとう)

報恩講作法において、左脇壇側(向かって右)の第一席で、柄香炉を保持し念仏の句頭を発音する者。

(2)画讃頭(がさんとう)

大師影供作法や奉讃大師作法などにおいて、左脇壇側(向かって右)の第一席で、柄香炉を保持し画讃の句頭を発音する者。

(3)讃 頭(さんとう)

正信念仏偈作法(第三種)などにおいて、左脇壇側(向かって右)の第一席で、柄香炉を保持し讃の句頭を発音する者。ただし、本山の報恩講作法では念仏頭が依用されるので、讃頭(恩徳讃を発音)は右脇壇側(向かって左)の第一席とする。

(4)散華頭(さんげとう)

礼盤前に起立して、三奉請の句頭を発音する者。柄香炉および華籠を保持し、散華の作法を行う。一般寺院において「頭」を依用するとき、散華頭が二名の場合は、祖師前側の第一席と御代前側の第二席(導師席の次)とする。ただし、導師が直接登礼盤をする場合は、御代前側の者も第一席とする。また、報恩講作法において、散華頭が二名で念仏頭も依用されている場合は、散華頭は祖師前側の第二席と御代前側の第二席(導師席の次)とする。

伽陀頭(かだとう:伽陀の句頭を発音)などは、導師が登礼盤をする前に唱えるもので、御代前側の後門に最も近い席とする。

〔注〕

①導師・調声人および「頭」の席は、「法要席次規程」の順位によらない。

②導師・調声人および「頭」の発音者は、定められた音の高さと速度で正しく出音し、同音になってからも、諸僧の読誦の音の高さと速度が乱れぬよう努めねばならない。

③調声の終わりは定められた長さよりもやや長く唱え、同音になってから調声を終わるようにする。また、同音ののちに再び調声するときは、諸僧が同音の句を完全に唱え終わってから出音する。

④合掌・礼拝、行道・起居礼などの作法を諸僧が同時に行う場合は、導師・調声人は動作の時期や速さに注意し、諸僧がそろって行いやすいように心がける。経本や声明本の頂戴、立列・復座の場合も同様である。

2 結衆(けっしゅう)・列衆(れっしゅう)・讃嘆衆

結衆とは、法要や儀式に際して、あらかじめ人員を選び役配を定めて、内陣に着座する者(または余間などにおいて法要を行う場合に、上記のような方法で選ばれた者)をいう。

その人員は偶数(導師・調声人を含む。ただし、導師が導師席に着座しない場合は導師を除く)とし、法要や儀式の規模、内陣の広狭などによって適宜に人員を定める。列衆とは、法要や儀式に際して、人員を定めず「法要席次規程」に準拠して、内陣の回畳や余間、また外陣などに着座する者をいう。ただし、内陣に結衆が着座する場合は、列衆は内陣に入らない。

余間における列衆の席次は、原則として左余間(向かって右)を上席とし、左右交互に着座する。ただし、内陣が列衆である場合は、内陣の列衆につづいて左右の余間に順次、交互に着座する。外陣における列衆の席次については一定の規定はなく、必要に応じて会奉行(法要責任者)が適宜に定める。

本堂以外の場所でも、結衆・列衆の別およびその席次は、上記を準用する。

讃嘆衆とは、特に、奏楽員(楽人)のうち僧侶である者、および法要において伝供を依用する場合に、伝供衆以外の結衆で声明を唱える者をいう。

〔注〕

①結衆・列衆は、定められた通りの作法により動作を行い、導師・調声人にならって全員が統一ある行動をとるよう心がけねばならない。特に合掌・礼拝、経本や声明本の頂戴、立列・復座・行道などの動作は、導師・調声人にあわせて全員がそろうよう心がける。

②同音するときは、調声の声につづいて同じ音の高さで、速度を考慮しながら唱和する。ただし、導師・調声人または「頭」の発音が、定められた音の高さまたは速度といちじるしく異なる場合は、規定の音の高さおよび速さで同音する。

3 会 奉 行(えぶぎょう)

会奉行とは、法要や儀式に関する責任者の職名である。また、会奉行を補佐し、会奉行に事故ある場合その職務を代行させるため、副会奉行・会係を置くことがある。

会奉行は、次の事項を行う。

(1)法要の日時・次第、荘厳・服装、縁儀・庭儀などの一切の事柄を計画し、法要執行の責任者となる。また、出勤者に対して法要の差定を示し、必要事項を指示する。

(2)法要の諸準備、法要出勤者に対しては習礼を行い、所要の注意事項を指示する。

(3)法要に際して、堂内の荘厳その他の舗設(畳などを置くこと)を整える。

(4)法要の開始直前に堂内を見回り、荘厳・舗設などに遺漏がないかを確かめる。

(5)法要開始に当たって行事鐘を命じる。このときの作法は、会奉行が後堂で喚鐘役に向かって「カーンショー」(喚鐘)と告げる。喚鐘役は、これを受けて「ハーイ」と答え、行事鐘を打つ。

(6)行事鐘とともに、左脇壇前(向かって右)で外陣の奏楽員が所定の席に着座したのを確認してから、後堂で列衆・結衆の順に入堂を促し、後門でこれを迎えて席次の順を誤らぬように着座させる。

(7)奏楽がある場合は、列衆・結衆が着座し終わってから、右脇壇前(向かって左)で奏楽員に奏楽を促す。

(8)法要中の華籠などの賦撤および指示事項の伝達のうち、重要なことは自ら行う。

(9)法要中は法要の進行に従って適宜に所要の事項を処置する。

4 奏 楽 員(そうがくいん)

奏楽員(楽人)は、法要などに際し雅楽を奏する者をいい、これを指揮する者を楽行事(がくぎょうじ)という。

法要に際しては、通例として、祖師前側より楽行事・羯鼓(かっこ)・横笛(りゅうてき)・楽太鼓(がくだいこ)・篳篥(ひちろき)・笙(しょう)・鉦鼓(しょうこ)の順に内陣下の外陣、または余間下の外陣に着座する。この他に弦楽器(楽筝・楽琵琶)を加える場合もある。

奏楽員(楽人)は、着座して合掌・礼拝のあと、楽座を組んで奏楽の用意をし、楽行事の指揮により奏楽を行う。ただし、奏楽中は楽座を組むが、奏楽をしていないときは正座の姿勢をとる。また、降礼盤など退出楽が終われば正座し、合掌・礼拝して退出する。

〔注〕

①奏楽を外陣の右余間下(向かって左)で行う場合には、内陣下の場合と同じく左(向かって右)より鞨鼓・横笛の順に着座する。また、外陣の左余間下(向かって右)において奏楽する場合には、鞨鼓を最も内陣寄りとし、以下全員、内陣下の場合とは左右逆の位置に着座する。

②鞨鼓を担当する者が、楽行事を兼ねる場合がある。

③横笛・篳篥・笙の人員に規定はないが、二人以上の場合は上席のものが主管をつとめる。

④奏楽員が僧侶である場合は、奏楽しない間は讃嘆衆として正座で声明を唱和する。

5 伝供(てんぐ)の諸役

伝供とは、華(け)・灯(とう)・供物(くもつ)などを順次に手渡して、これを尊前に献供することをいう。伝供に際しては、結衆を「伝供衆(てんぐしゅう)」と「讃嘆衆(さんだんしゅう)」に分け、伝供衆は伝供を行い、讃嘆衆は声明を唱える。伝供衆と讃嘆衆は同時に座前に立列し、伝供衆がそれぞれ所定の位置につくと讃嘆衆が出音し、その同音から伝供を始める。

伝供の作法は、各人が所定の位置に並んで起立したあと、尊前から最も遠い位置に着いた者が、花瓶や燭台その他の供物を、ひとつずつ右手で目の高さに奉持し、左手をそえて次の人に渡したあと一揖する(受けとるときはしない)。同じ作法をくり返し、次々に供物を前方の人へ渡して、最後の人が供物台へ順番に献供する。

華・灯・供物などを渡し終わった人から、順次に自席へもどり座前に立列する。声明が終わったところで伝供衆・讃嘆衆とも、同時に一揖して復座する。

〔注〕

①伝供は、讃嘆衆の声明の代わりに奏楽中に行ってもよい。

②献供する華・灯・供物の数量、および作法・人員などについては、法要の主旨にもとづき適宜に定める。

③内陣の伝供は僧侶が行い、外陣の伝供は原則として門信徒が行う。

6 縁儀(えんぎ)・庭儀(ていぎ)の諸役

縁儀は、法要や儀式に際して、導師以下の諸僧が集会所から一定の行列をして、堂縁を通って入堂する作法をいう。また、庭上を通って入堂する場合を庭儀という。

縁儀または庭儀の行列次第は、法要・儀式の内容によって適宜に定める。一般寺院における法要の行列次第を例示すると、次のようである。

列 係―稚 児―各種教化団体・門信徒―奏楽員―列 衆(出勤法中)―結 衆―導 師―寺族・門徒総代―列 係

〔注〕

参列者はつねに正しい姿勢を保ち、行進は「行道」の足どりで歩む。

 

本ページは『浄土真宗本願寺派 法式規範』をもとに、ホームページ用に抜粋し構成したものであるため、凡例・本願寺・大谷本廟・直属寺院の荘厳に関すること、並びに椅子席規範用語解説、口絵、イラストなどについては法式規範を参照ください。