声明と役配

声 明 作 法

法要や儀式に際しては、その趣旨に従って、各種の声明が唱えられ作法がつとめられる(声明作法については、「法要と儀式」の項も参照されたい)。

1 声明作法の種類

声明作法を『声明集』(上・下)によって列挙すれば、次の通りである。

『声明集』(上)

1 無量寿経作法

2 観無量寿経作法

3 阿弥陀経作法

4 広文類作法

5 大師影供作法

6 二門偈作法

7 報恩講作法

8 讃弥陀偈作法

9 浄土法事讃作法

10 五会念仏作法

11 十二礼作法

『声明集』(下)

1 円光大師会作法

2 上宮太子会作法

3 奉讃早引作法

4 阿弥陀経(漢音)

5 読経作法

6 讃仏偈作法

7 重誓偈作法

以上のほかに、親鸞聖人七百回大遠忌法要に制定された奉讃大師作法と、親鸞聖人御誕生八百年並びに立教開宗七百五十年慶讃法要に制定された正信念仏偈作法、蓮如上人五百回遠忌法要に制定された奉讃蓮如上人作法、親鸞聖人七百五十回大遠忌法要に制定された宗祖讃仰作法、第25代専如門主法統継承式に制定された無量寿経作法第2種、広文類作法第2種がある。また、本山専用の声明として修正会作法、報恩講作法(第一種・第二種)、無量寿会作法、讃仏講式作法などがある。

2 声明作法の差定

法要に際して、荘厳・装束・次第ならびに法要出勤者などを記したものを「差定」という。

無量寿経作法の次第を例示すれば、次の通りである。

無量寿経作法

行事鐘  

*奏楽員(楽人)ならびに讃嘆衆(外陣または余間へ)・列衆(余間へ)・結衆(内陣へ)の順に入堂する。

諸僧入堂    
音 取 持念

*楽がある場合は、音取中に一同持念(合掌・礼拝)を行う。行事鐘は、音取の開始と同時に二回目の打ち下しを行い、音取中に適宜に終わる。楽がない場合は、諸僧の入堂が終わるころ、行事鐘の二回目の打ち上げの終わりがくるように打ち、持念は二回目の打ち下し中に行う。

総礼頌  

*右脇壇側(向かって左)の後門に最も近い席の者が発音する。

*楽がある場合は、音取が終わり次第すぐに発音する。楽がない場合は、行事鐘が終わり次第すぐに発音する。

   
登礼盤  

*導師〔右脇壇側(向かって左)の第一席〕は、楽の合奏より登礼盤を行う。ない場合は、総礼頌の同音より行う。

止 楽    
二音

*一音目は柄香炉を持たずに打ち、二音目は柄香炉を持って打つ。

降礼盤 結衆座前立列

*導師は、華籠のなかに向卓上の声明本を移し、柄香炉の香炉の部分を華籠のなかに置き(声明本の上に置かない)、右ひざから後退して礼盤を降りる。
礼盤前で蹲踞し、右手で柄香炉をとって左手に持ちかえ、右手で華籠をとって左手の柄香炉の柄の部分の下に移す。左手で柄香炉と華籠を持ち、右手で中啓をとり要部で華籠のひものもつれを直してから、えり元にさす。両手で柄香炉と華籠を持って起立し、右足から引いて敷居ぎわまで後退する。

*結衆は、華籠のなかに声明本を移し、華籠と中啓を持って座前に蹲踞する。中啓の要部で華籠のひものもつれを直してからえり元にさし、導師にあわせて起立する。

10 三奉請 毎句「散」字散華  
11 登礼盤 結衆復座

*導師は、一揖のあと礼盤前に進む。右手でえり元の中啓をとり、要部で華籠のひもをたぐり集める。両手で柄香炉と華籠・中啓を持って蹲踞し、華籠のみ脇卓の上に置く。つづいて中啓を磬台の両脚の間に置く。右手で柄香炉の香炉の部分を華籠のなかに入れ、柄の部分を塗香器の方に向けて置き、礼盤上に左-右-左-右と上がる。衣体の乱れを整えてから、右手で脇卓の柄香炉をとり、正面の向卓の右方にたてに置いて、華籠のなかの声明本を向卓に移す。

*結衆は、導師にあわせて一揖し、えり元の中啓をとり、要部で華籠のひもをたぐり集める。つづいて華籠とひもを両手で持ち、右足から後退して回畳に上がり着座する。着座してから、両手で華籠を右ひざ横に置き、右手の中啓の要部を右に向けて、ひざの前に横一文字に置く。声明本をとり、ひざの上に保持する。

12 一音

*柄香炉を持たずに打つ。

*表白を依用する場合は、次第十二と十三の間に入れ、表白が終わってから磬を一音打つ。

13 発起序  

*導師は柄香炉を持ち、跪(正座の姿勢から左ひざを立てる)をして誦す。次に「行如来徳」と誦しながら起居礼を行う(「行如」で蹲踞し、「来」で起立のあと、「徳」で正座の姿勢にもどる)。

*諸僧は、正座のまま「今日天尊」の一句だけを唱える。

14 一音

*柄香炉を持ったまま打つ。

15 降礼盤 結衆座前立列

*導師は磬一音ののち降礼盤に移り、結衆は座前に立列する(この作法は、「三奉請」の前の降礼盤作法と同じ)。

16 念 仏

同音より一揖行道、

第三句以下

「阿」字散華

*導師は、同音より散華・一揖を行い、行道に移る。結衆は、導師にあわせて一揖し、行道に移る。

*行道は、御本尊の周囲を円を描くように回る。行道中に御本尊前を通過するときは、御本尊の方に向き直って、散華のあと一揖する。次に左方向に向きを変え、正面から一歩進んで正面をはずし、そのあと行道をつづける。

*念仏を誦す間に、導師は御本尊の左側(向かって右側の須弥壇横、「仏の左辺」という)にいたる。念仏の最終句の「仏」で、一同内側を向く。

17 経 段 同音より行道

*導師は、起立したまま経題を誦してから、「設我得仏」より蹲踞し、華籠を板敷きの上に置く(御本尊を中心に少し内側に置く)。次に、右手で華籠のなかの声明本をとり、左手にすでに保持している柄香炉とともに両手で持って、「国有地獄」で結衆とともに起立し、左方向に向きを変えて「餓鬼」より行道を行う。

*結衆は、念仏の行道のあと内側に向き直ってから蹲踞し、華籠を板敷きの上に置く。声明本を持ち、経段の「国有地獄」より導師にあわせて起立し、同じく左方向に向きを変えて「餓鬼」より行道を行う。

*御本尊前では、正面に向き直って一揖する。

*経段で一匝(一回まわること)のあと、導師は御本尊の左側(向かって右)「仏の左辺」、結衆は各自が華籠を置いた場所にもどる。経段の終わりで、一同内側に向き直って蹲踞し、華籠のなかに声明本を置く。

〔注〕

一連の動作があわただしい場合は、「不取正覚」から行道に移るなど、適宜に変更してもさしつかえない。また、行道の回数は一匝でも二匝でも適宜に行う。

18 念 仏

同音より一揖行道、

第三句以下

「南」字散華

*導師は、華籠と柄香炉を持ってすぐ起立し、念仏を誦す。同音より、一揖して行道に移る。結衆は華籠を持って、念仏の同音より起立し、導師にあわせて一揖したあと、左方向に向きを変えて行道に移る。

*導師は礼盤前に、結衆は座前にもどって、念仏の最終句の「薩」で、一同内側に向き直る。

19 成就文 毎句次第取

*導師は礼盤前に起立のまま、結衆は座前に立列のままで誦す。

*次第取は、導師が「諸有衆生」と誦し、結衆は「生」のとき「諸有衆生」と復唱する。以下、毎句同じように導師につづいて復唱するが、終わりの「唯除五逆誹謗正法」は、導師は一気に誦し終わり、結衆は「誹」のとき「唯除五逆誹謗正法」と一気に復唱する。

20 回向句 導師同音より登礼盤

*導師は礼盤前に起立のまま句頭を発音し、同音より一揖して登礼盤を行う。

*結衆は、座前に立列のままで誦す。

21 二音

*柄香炉を持たずに打つ。

22

結衆復座

*結衆は、楽の合奏より一揖して復座する。楽がない場合は、磬二音ののち一揖して復座する。

23 降礼盤 還着本座

*導師は、結衆復座後降礼盤を行い、もとの導師席〔右脇壇側(向かって左)の第一席〕に還着してから、持念(合掌・礼拝)する。結衆は、導師にあわせて持念する。

24 止 楽  

*一同持念が終われば止楽。

25 諸僧退出  

*内陣、余間、外陣の順に退出する。

      〔注〕
     

他の声明作法の次第については、『声明集』または『勤式集』を参照されたい。

本ページは『浄土真宗本願寺派 法式規範』をもとに、ホームページ用に抜粋し構成したものであるため、凡例・本願寺・大谷本廟・直属寺院の荘厳に関すること、並びに椅子席規範用語解説、口絵、イラストなどについては法式規範を参照ください。