作法と荘厳

僧侶が法要や儀式などに用いる衣体、その着け方


法要や儀式に用いる法具や経本・声明本・御文章などの持ち方、扱い方

 

法要や儀式を行うに際して、行事の開催や開始を知らせたり、僧侶の出仕を促したり、または法要・儀式中に用いるもの

 

寺院の本堂や家庭の仏壇などの荘厳、および清掃をするときの心得

被 着 法(ひちゃくほう)

僧侶が法要や儀式などに用いる袈裟(けさ)・衣(ころも)・切袴(きりばかま)を総称して「衣体(えたい)」(関係法規を参照)といい、その着け方を「被着法」という。

衣体を着用のときは、白衣(はくえ:白服びゅくふく)・白襦袢(しろじゅばん)・白帯(はくたい:白衣用の白い帯)・白足袋(しろたび)を用いる。ただし、布袍・輪袈裟の場合は、俗服または洋服の上に着用してもよい。

1 袈 裟(けさ)

袈裟の種類と着け方は、次の通りである。

(1)七条袈裟(しちじょうげさ)

七条袈裟を用いる服装を「礼装(れいそう)」といい、僧綱板(そうごういた)および切袴を着用する。着け方は、まず衣の上に僧綱板をつけ、僧綱板の脚布の上から石帯(衣用の帯)を締める。横被を右肩からかけ、ひもを左わき下へ回して結ぶ(横被の肩にかかるところは、首に近い側の端を少し内側に折っておく)。次に、あらかじめ修多羅を結びつけた袈裟の右端を三つ折りにし、裏威儀(結びひも)のところで内側に折り、横被の下の右わきから左肩にかけ、上下の力ひもを結び、修多羅のひもを横被のひもの内側を通して裏威儀に結びつける。左手の親指は、つねに袈裟の内側にある指かけにかけて、袈裟の左上隅を内側に折りこむように押さえながら、身体の中央にかるくつける。

(2)五条袈裟(ごじょうげさ)

五条袈裟を用いる服装を「正装」または「略正装」といい、正装の場合は切袴を着用し、略正装の場合は省略する。

着け方は、小威儀を二本重ねて輪結びにし、袈裟を頭からかぶるように着ける。大威儀を左肩に、右腕を袈裟の上に通してかけ、裏威儀(前裏にある輪ひも)に通して、胸の前で飾り結びをする。このとき大威儀は、背中のつけ根が多少つり上り気味となり、前の結び目は胸の中央よりやや左にあるようにする。

また、大威儀の長さはあらかじめ体格によって加減し、袈裟の右わき下に入る部分を少し内側に折りこんで調節する。小威儀は左腕のひじ関節部にかける。

(3)小五条袈裟(こごじょうげさ)

小五条袈裟(墨袈裟を含む)は、「服制規程」の略正装第三種において黒衣を着用するときに用い、色衣・布袍の場合は用いない。着け方は五条袈裟と同じ。

(4)輪袈裟(わげさ)

輪袈裟は、主として法要出仕のとき以外に用いる。衣に着用する場合は、輪袈裟の上に石帯を締める(石帯の着け方は「(1)衣」の項を参照)。

(5)三緒袈裟(みつおげさ)

三緒袈裟は、門主が帰敬式のときに用いる。前面に二本、後方に一本の威儀ひもをつけた形であるため、この名がある。

(6)黄袈裟(きげさ)

黄袈裟は安居(7月中~下旬に開講)のときに用いる。着け方は五条袈裟と同じ。

〔注〕

①袈裟は、畳や床の上など歩行する場所にじかに置かない。必ず適当な敷物の上に置くか、器のなかに入れる。あるいは中啓を開いて、その上に置く。

②袈裟をかけたまま手洗いなどの場所に行かない。

2 法 衣(ほうえ)

法衣には、衣と布袍・教服とがある。

(1)衣(ころも)

衣には色衣と黒衣があり、主として法要や儀式に出仕するとき着用する。着け方は、衣の上に石帯(せきたい:縫い目のない方を上にする)を白帯(はくたい:白衣用の帯)の高さより少し上に締める。石帯の両端は輪結びにし、輪袈裟をかけたときは輪の部分を石帯の内側にはさみこむ。

(2)布袍(ふほう)・教服(きょうふく)

布袍・教服は、法要出仕のとき以外に用いる。布袍は、白衣や俗服または洋服の上に着用し、教服の場合、洋服、靴下を用いる。

上記の法衣以外に、葬儀の際に喪主およびそれに準ずる僧侶が着用する喪服がある。衣(鈍色麻地)・五条袈裟(鈍色無紋麻地)・切袴(鈍色)をいうが、喪服に代えて黒衣・墨袈裟を着用してもよい。

〔注〕

①法衣を着けて座るときは、すその前を左右に開かない。

②法衣を着けたまま手洗いなどの場所に行かない。

③法衣の衣替えは、夏衣を6月1日から、冬衣を10月1日から用いる。ただし、5月中に限り季節の変動を考慮して、夏・冬いずれの衣を着用してもさしつかえない。法要や儀式・行事などにおいては、その責任者(会行事または会奉行)が着用する衣の統一をはかり、不揃いにならぬよう配慮する。

3 切 袴(きりばかま)

切袴の被着法は、前ひもを先に結んでから、うしろひもを結ぶ。すそは足袋にふれる程度の長さにし、白衣のすそが見えないように着ける。布袍を着けたとき俗袴を着用する場合があるが、着け方は同様である。

このほか裹頭(かとう)(無量寿会作法において証誠および題者が着用を許されるもので、頭巾のように頭を裹む形で用いる。)や、襟衣(えりごろも)がある。

4 履 物(はきもの)

法要や儀式で用いられる履物に沓(くつ)と草履(ぞうり)の二種があり、また沓には草鞋(そうかい)と浅沓(あさぐつ)がある。

草鞋は木製の金襴張りで、内陣に結衆として出仕するとき、または縁儀に際して用いることがある。

浅沓は木製黒塗りで庭儀に際して用いる。いずれも、通路をするようにしてゆるやかに歩む。

なお、門主・前門・新門が用いる履物に葦草履(いぞうり)と鯨魚(げぎょ)がある。

葦草履は内陣以外の場所の縁儀で用い、鯨魚は本山年中行事の「御煤払」(12月20日)のとき用いる。

本ページは『浄土真宗本願寺派 法式規範』をもとに、ホームページ用に抜粋し構成したものであるため、凡例・本願寺・大谷本廟・直属寺院の荘厳に関すること、並びに椅子席規範用語解説、口絵、イラストなどについては法式規範を参照ください。